いつもの様に出勤すると、カーテンは外れ、机の上は荒らされていました。
警察を呼ぼうと思いましたが、とりあえず何が盗まれたか見てみました。
何も盗まれていません。
良く見ると窓の鍵はかかっています。
出勤時、事務所側の扉の鍵も、2重でロックがかかっていました。
倉庫側のシャッターもしっかり閉まっていました。
密室です。
犯人はまだこの中にいる!
いや、いません。
室内にある電動シャッターのボタンを押すと、ゆっくりシャッターが下りてくるので、
その間に外に出れば鍵を持っていなくても、誰でも施錠した状態で外に出られます。
でも何でわざわざそんな事をするんでしょうか?
そもそも何も盗まれていないのも腑に落ちません。
仮に・・・
普段はなかなか開けない窓を開け、たまたま鍵を閉め忘れて帰ってしまい、
それを誰かがたまたま見つけ、いたずらで中に入ってみたものの、
大した金目の物も無く、何も盗らずに鍵をかけて出て行った・・・?
鍵かけて行かないよね?
さっぱりわかりません。
・・・
ふと斉藤君を見ると、何と通常業務に戻っております。
海「よく平気でいられるね?気にならないの?」
斉「何も盗られてないんだから良いじゃん」
海「・・・」
たまにこの男は、恐ろしい程の懐の深さを見せます。
海「でもあきらかに誰か入ってきて、何かしていったんだよ?」
海「自分の家がこんな状態だったらどう思う?」
斉「何回か続くなら気持ち悪いけど、1回位なら気にならないかな。」
海「・・・」
もうね、神です。
僕が「何だろう?どういう事だろう?」と考え込んでいると、
神は「どうでも良いじゃん・・・」くらいの顔をしてきます。
神の冷たい視線は無視して、机のまわりをもう一度調べてみました。
窓からよじ登って入ってきたなら、靴は脱いでないだろうし、足跡とか。
犯人が何か落としていってないか?とか。
?
茶髪の毛がカーテンに付いています。
茶髪?
っ!
これでやっと解りました。
カーテンが外れていたので、窓から誰かが忍び込んできた、
と勝手に思い込んでいました。
犯人は昨夜、僕が帰る前から中にいたんです。
そして、
犯人はまだこの中にいる!(2度目)
渋る斉藤君を駆り出し捜索です。
いつの間にか入り込んでいたんですね。
発見。
餌で釣ってみる。
電線の中に隠れてるつもり。
斉藤君も必死です。
捕まえるのに1日かかりました。
なんなら少し残業しました。
後日もみじさんから、キャットフードは経費で落ちないと怒られました。